パンデミックとは、広域に蔓延して膨大な人口に感染する病気。いま欧米諸国には、「低パフォーマンス」という名のパンデミックが蔓延しています。
このパンデミックがはびこると、生産性は低下する、人間はダメになる、将来への夢も希望もなくなる、進歩向上への意欲も湧かない……などろくなことがありません。
何百万もの人々が、本来の実力に見合わない低所得労働に甘んじており、とくに若年層にそういう人が目立ちます。
このパンデミックを「電子機器の呪い」といいかえてもいいかもしれません。
人材紹介の大手ロバート・ハーフ・インターナショナルによれば、ビジネスパーソンは就業時間のゆうに50%を、会社にとって何のメリットもなく、目の前の仕事とは何の関係もない活動に無駄に費やしているとか。なかなか仕事にとりかからないし、とりかかってもろくに生産性を発揮しないまま日がな一日過ごすのです。
いまの20代や30代が就職したときは、すでにインターネットの時代。そして現在では、フェイスブックがあり、YouTubeがあり、グーグルがあり、LinkedInがあり、ツイッターがある。さらにスマートフォンもある。推定によると、現代の成人は一日平均3時間半をアプリやメールに費やしているといいます。
本人たちは意識していないかもしれませんが、電子機器中毒者の将来の夢や希望は、じわじわと実現可能性を失いつつあるといっていいでしょう。電子機器のチェックに費やす時間が増えるにつれて、仕事の質も量もどんどん低下していく。なぜか? たえず気が散っているからです。
自己啓発
最悪のパンデミック
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2018.4.17
From ブライアン・トレーシー
メール中毒
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成人は、一日平均145回メールチェックをするといいます。
タイムマネジメントの権威、ジュリー・モーゲンスターンが『Never Check E-Mail in the Morning(午前中は絶対にメールチェックするな)』という本を書いたほど。
モーゲンスターンと同じ結論に達する企業や組織も増えています。『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌でさえそうです。メールにかまけすぎると、高レベルのパフォーマンスを発揮することなど望めず、ひいてはキャリアが台無しになるおそれすらあります。
メールは、あなたのいまの生産性にも将来のキャリアにも破滅的な影響を及ぼします。なぜかといえば、メールを送受信するたびに、体内で少量のドーパミンが放出されるからです。
ドーパミンはコカインに類似した刺激剤で、これが放出されると程よい快感をおぼえます。そこで無意識のうちに、その快感をまた味わいたいと思うようになるのです。
メールをチェックしたり、送受信したり、電話をかけたり、その他スマートフォンやパソコン経由でやりとりするたびに快感を味わえるので、一日じゅうやるようになる。じき、やめようと思ってもやめられなくなる。ここまできたらほぼ中毒です。
『USAトゥデイ』紙の記事によると、しょっちゅうメールを送受信していると脳がどんどん疲労していき、IQスコアが一日10ポイントも低下するといいます。
朝から夕方にかけて少しずつ頭が悪くなっていくということです。
仕事時間向けのシンプルなルール。午前中はメールチェックをしないこと。
メールチェックは一日2回、たとえば11時と15時だけと決める。それ以外の時間は、メールの着信音をオフにしておく。着信音が聞こえるたびに体内でドーパミンが放出され、仕事がおろそかになり、生産性が低下することを忘れないように。
着信音はオフにしておくことです。
ブライアン・トレーシー
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1944年カナダ・プリンスエドワード島出身。 |