タイムマネジメント・テクニックのひとつめは簡単。毎日、仕事にとりかかる前に、その日やるべきことを全部列挙したTo Doリストを作る。一日の仕事の締めくくりとして、翌日やるべきことを網羅したリストを作れればなおいいでしょう。
翌日やるべきことを全部リストアップしておくと、自分の潜在意識が、本人が眠っているあいだも一晩じゅうリストに取り組んでくれます。おかげで翌朝目を覚ましてみると、その日の仕事をより短時間でこなし、よりハイレベルな仕上がりにするためのアイデアやひらめきが浮かんでくることがよくあります。
新たな案件が出てきたら、それもリストに書き加えましょう。リストに書いてない仕事は一切しないこと。電話をかけるとかメールを送るなどもです。リストを作ることで、どのタスクが重要でどのタスクがそれほど重要でないかが一目でわかるようになります。
タイムマネジメントの専門家アラン・ラーキンによれば、リストを作ってリストどおりに行動するようにすれば、初日からいきなり仕事時間を25%節約できるといいます。
3~4週間もすれば、一日の仕事についても、プロジェクト等の複雑な仕事についてもリストを作るのが習慣になり、みるみるうちに生産性がアップするはずです。
自己啓発
ABCDEメソッド
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2018.5.4
From ブライアン・トレーシー
優先順位をはっきりさせよう
仕事にかかる前にまず、リスト項目に優先順位を設定しましょう。
一歩下がって、自分のやるべきことをじっくり考えてみる。その際、すべてをこなすのは不可能だという前提に立つことです。
どんなに生産性をアップしても、やらなければならない仕事はいくらでもあるので、とても全部は完了できないのが普通です。だからタスクは必ず選別すべきなのです。
最初に手をつけるべきタスク、2番目に手をつけるべきタスク、一切手をつけないタスクというように。
リストにも80:20ルールがあてはまります。
全活動の20%が成果の80%を占める、という法則です。ということは、その日予定しているタスクを10個並べたリストがあった場合、うち2つはほかの8つを全部合わせたよりも価値があるはずだということになります。
もちろん場合によっては、どれかひとつがほかの全部を合わせたより価値があるという場合もあるでしょう。
大事なのは「仕事にどれだけ時間をかけるか」ではなく、「価値のある仕事をどれだけ多く達成するか」です。
仕事をすることそのものよりも、成果を重視すべきです。そのためにはタスクの価値に応じて時間配分し、最重要なタスクからまず手をつけることが重要になってきます。
ABCDEメソッド
by Saarblitz Please do not look me in the eyes;-) via photopin (license)
「ABCDEメソッド」を活用しましょう。その日の仕事にかかる前にまずリストに目を通し、ひとつひとつのタスクの横にABCDEのどれかを記入するという方法です。
それぞれのタスクを完了した場合、完了しなかった場合に結果的にどういうインパクトがあるか考えてみる。インパクトの大きな結果につながるタスクは重要度も高くなり、インパクトの大きな結果につながらないタスクは重要度も低くなります。結果がすべて。
成功者で生産性の高い人は、自分の時間の大半を、インパクトの大きな結果につながるタスクに費やします。
これに対して成功しない人は、インパクトがほとんどないタスク、つまり完了しようがしなかろうが結果的には大して影響のないタスクにむやみに時間をかけがちです。成功者よりも長時間あくせくと働いているのに成功できないのはそのせい。
リストに記載した各タスクの横に、ABCDEのどれかを書きこみましょう。Aは必ずやるべきタスク、完了するか否かがインパクトの大きな結果につながるタスク。もし完了しなかったり、期限を徒過したりしたら大問題になりかねないタスクです。日々必ずクリアすべき、最重要なタスクです。
Bは、やるべきタスク、つまり完了するか否かがそこそこインパクトの大きな結果につながるタスク。遅かれ早かれやらなくてはならないが、タスクAほど重要ではないタスクです。未処理のタスクAがまだ残っているうちは、絶対にタスクBに手をつけてはいけません。
Cは、やって悪いことはないが、やらなくてもとくに影響はないタスク。たとえばメールをチェックする、家に電話する、同僚とコーヒーを飲む、など。どれも、やってもいいが仮にやらなくても何の問題もないタスクです。
タスクを選別しよう
残念ながら、たいていの人は勤務時間の大半をタスクBやタスクCに費やしています。そのくせ、職場にいるというだけで自分ではちゃんと仕事しているつもりでいる。しかしこれは間違いです。職場にいるからといって仕事しているとは限りません。
タスクDは、人に任せるべきタスク。ただし任せる相手は報酬や時給が自分より低く、かつそのタスクをこなせる人間に限ります。時給25ドル(年収にすれば5万ドル)とか50ドル(同じく10万ドル)を稼ぐ人になりたいなら、自分以外の人間が時給10ドルでこなせる仕事に自分の時間を使ってはいけません。
タスクEは、カットしてしまっても何の問題もないタスク。たとえば前々からやっているけれどもいまではもう意味のないタスクとか、もう自分の担当ではないタスクとか。カットしても自分のキャリアに何の影響もないタスクです。
優先順位をつけよう
ではリストに戻り、タスクAを整理します。
優先順位順にそれぞれA1、A2、A3……と書きこむ。タスクBについても同様です。それが終わったら、まずはタスクA1から手をつけます。それがあなたの時間のもっとも有意義な使い方だからです。
タスクA1が100%完了するまでは、それだけに集中すると心に決めましょう。道草したり、気を散らしたりせず、最後までやり抜きましょう。
リストを作り、優先順位をつけ、まずは最重要タスクから手をつけて完了する。至ってシンプルですが、これこそは質・量両面で2倍、3倍もの成果を出す秘訣です。ハイレベルな結果を出す鍵です。
ROEを増やそう
by tehchix0r To-do (Project 365: 58/365) via photopin (license)
企業の事業戦略の目的は、ROE(自己資本利益率)つまり投下資本に対するリターンを上げることです。投じた資金や労力に対して、可能な限り多くの売上や利益を生み出すこと。
これが個人の場合、投じる資本は自分の肉体的、知的、感情的エネルギーということになります。そして目的は企業と同様、ROEを増やすこと、つまり投じたエネルギーに対するリターンを可能な限り増やすことです。
仕事のプランニングに1分かけるごとに、実際の仕事時間を少なくとも10分は節約できる。一日分の仕事を計画するのにかかる時間はせいぜい10~12分でしょう。けれど仕事にかかる前にまず計画を立てることで、2時間=120分もの「生産的な時間」が浮きます。つまり1000%を超えるエネルギー利回りが得られるのです。
時間とお金は互換性があります。
どちらも、消費もできれば投資もできる。時間もお金も消費してしまえばそれっきりで、二度と回収できません。しかし時間やお金を投資すれば、うまくするとその後何年にもわたってリターンを得られます。
投資商品にお金を投資すれば、毎年収益が上がります。たいていの富は、こういう投資を通じて蓄積されるのです。
時間とお金を自分自身に投資し、仕事力にますます磨きをかければ、収入も増えていく。つまり何年にもわたって、投じたエネルギーに対する高リターンが得られるのです。増えた収入をまた自分に投資すれば、じき業界でもトップクラスの市場価値の高い、高報酬の人材になれるはずです。
ブライアン・トレーシー
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1944年カナダ・プリンスエドワード島出身。 |