所得の決定要因は大きく分けて3つあります。
「何の仕事をするか」「どの程度の質の仕事ができるか」「自分の代わりを見つけるのがどのくらい難しいか」の3つです。
いまの報酬額に満足できなかったらどうしますか?
ひとつの選択肢は、転職すること。もうひとつは、仕事の質を高めることで、自社にとってなくてはならない人材、容易には代わりが見つからないような人材になることです。
上記の3要因からすると、失業や不完全雇用(脳力以下の仕事に従事している状態)、収入の多寡、自分の真のポテンシャルに見合う収入を稼いでいるか否かなどは、本人の選択によるところが大きいことがわかります。就職して何年か経過して以降の所得額は、おおむね本人の選択の結果といっていいでしょう。
つまり、いくら稼ぐかは自分次第です。いまの自分の行動が、将来の自分の所得額を決めます。
偉大な経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは、「どんな行動にも、ひとつないし複数の結果がともなう」と述べています。自分の行動の結果を正確に予見する脳力こそは、すぐれた思考力の証です。フォン・ミーゼスは、「結果をともなうものは、すべて行動と考えてよい」とも指摘しています。不作為、つまり一定の状況下で何の行動にも出ないことも「行動」の一種だということです。
自分が何らかの行動に出れば、結果がついてきます。何らかの行動に出なくても、やはり結果がついてきます。場合によっては、行動に出なかったことが、予想以上に大きな結果につながることもあるでしょう。
時間ぎりぎりに出勤し、一日の大半を同僚と雑談して過ごし、コーヒーブレイクや昼休みをたっぷりとり、できるだけ早く退社するといった行動は、近い将来その人のキャリアにマイナス影響を及ぼすはずです。同様に、スキルアップに励まない、時間を上手に使わない、最重要タスクに熱心に取り組まない、などの不作為も、やはり重大なマイナス影響を生じかねません。
自己啓発
生涯学習派になれば、無限の可能性が目の前に開ける
photo by mhobl bonne chance via photopin (license)
2018.6.1
From ブライアン・トレーシー
自然はえこひいきをしない
誰だってもっと金儲けし、もっと給料をもらい、もっととんとん拍子に昇進し、経済的に何不自由ない身分になりたいと思っていることでしょう。
でも、自然は中立です。
正義の女神像と同じで目隠しをしていて、えこひいきをしません。
「アウトプットを増やしたければ、インプットを増やすしかない」というのが自然の法則なのです。
自然にはこういう法則もあります。「インプットした以上のアウトプットは得られない」
私の座右の銘に、ゲーテのこういう言葉があります。「自然は冗談を解しない。常に真実で真面目で厳格である。自然は常に正しい。過ちや失敗を犯すのは常に人間の方だ。自然は自然を理解できない人間をさげすむ。そして理解力があり、純粋で、真実の者にだけ心を開き、秘密を明かす」
この言葉は一語一句、仕事にもあてはまります。自然の法則によれば、欲しいだけのお金を手にすることは可能です。ただしそのお金は、人が欲しがり必要とし、そのためなら喜んで代金を払うようなものを提供することで稼ぎ出すしかありません。
キャラウェイゴルフ社の創業者イリー・キャラウェイがこう言っています。「いまの業績は、いまの事業のあり方に見合ったものだ。事業のあり方を変えない限り、それ以上の業績は望めない」
自分と「自分サービス」販売会社についても同じことがいえます。
あなたがいま上げている成果は、いまのあなたの生活ぶりや仕事ぶり、たとえばいまの手持ちのスキルセットや仕事内容や仕事の質にちょうど見合っているのです。
質量両面でいま以上の成果を上げたいなら、もっといい仕事をし、自分の資産価値を高めるしかありません。そのためには新たなハイレベルなスキルを身につけ、自社にいま以上の貢献ができる人材になることです。
キャリアとスキル
photo by World Bank Photo Collection Students in Primary Seven at Zanaki Primary School via photopin (license)
新たな知識やスキルを学び実践できるかどうかで、その人の人生は大きく変わります。コンスタントに学び成長しつづけた場合と、その努力を怠った場合とでは、天と地ほども違った人生になることもありえます。
現に、もっているスキルに加えて、重要スキルをあとひとつマスターしただけでも、自分の市場価値と収入があっという間に倍になることだって珍しくありません。
現代ビジネス界のキーワードに、「ビジネスモデル」と「バリュープロポジション」があります。どちらも、製品を次のような視点からとらえたコンセプトです。
これは何か。
どういう機能があるのか。
どういう問題を解決してくれるのか。
どういう結果を出してくれるのか。
これらの視点は、あなたとあなたの「自分サービス」にもあてはまりますし、顧客や雇用主のニーズや欲求にもあてはまります。そして顧客や雇用主のニーズは、競争情勢や市場の流れに応じて目まぐるしく変動します。
キャリアを積んでいく中で、以下の問いに何度も繰り返しじっくりと向き合い、答えを出すことが大切です。こういう自己評価に費やす時間は貴重です。
自分のコアスキルやコアコンピタンスは何か。
自分の仕事の中で、いちばん重要で価値ある仕事は何か。
自分が自社のために達成している、最大の成果やメリットは何か。
いまの自分の得意分野は何か。仕事で成功をおさめるためには、いまから半年後ないし1年後にどういう分野を得意分野とすべきか。
このスキルに熟練すれば自分の人生にとってもキャリアにとっても最大のプラスになる、というスキルをひとつ選ぶとしたら何か。
収入を倍にするためにいちばん役に立つスキルをひとつ選ぶとしたら何か。
最後の問いこそはおそらく、キャリアアップにとっていちばん大事な問いでしょう。情報やテクノロジーや競争の成長・拡大が加速するにつれて、この問いへの答えは変わっていくはずです。それはどういうスキルか。そのスキルを習得するにはどういう計画が必要か。
一流になるための計画を立てよう
業界内でも一流の人材になるための計画を立てましょう。挫折するために計画を立てる人はいません。いるのは計画立案に挫折する人だけです。
スキルは一度にひとつずつマスターすべきです。
面白いのは、自分にとって最重要なスキルの習得に専心努力していると、知らず知らずのうちにそれ以外の重要スキルも磨かれてくるということ。個のスキル開発にフォーカスするようになると、自分の考え方や時間の使い方が1時間単位、一日単位で変わってきて、たえず新たな知識を吸収する学習マシンと化します。
トップ層は、必死で継続的学習に打ちこんでいます。
毎日、毎週、毎月の生活の中に学習時間を組みこむと、いますぐ決意しましょう。自宅に学習スペースを作り、毎日のスケジュールに一定の学習時間を組みこみ、スケジュールどおりに行動する習慣をつけましょう。
業界トップクラスの人材になりたいなら、前もって代償を払わなくてはなりません。何度でも繰り返し、必要なら何年にもわたって喜んで代償を支払いましょう。うれしいことに、自分が設定したゴール達成に必要なことなら、人間はなんだって学習できるものです。学習すればするほど、どんどん身につくようになります。
新しいことを集中して学ぶと、脳力つまり神経節とニューロンがどんどん活性化します。ひとつひとつのニューロンが何百、何千個もの他のニューロンとつながっているから、どんどん頭が冴えてくるのです。思考がどんどんスピーディに、どんどん明晰になります。そうなれば新しいことをもっと大量に、もっと迅速に習得できるようになります。
生涯学習派になれば、無限の可能性が目の前に開けるのです。
ブライアン・トレーシー
|
1944年カナダ・プリンスエドワード島出身。 |