大切な時間なのにあまり意識することがない時間、それが「自由時間」です。
1週間は168時間。1日の労働時間は平均8時間(週40時間)、睡眠時間が8時間(週56時間)、着たり食べたりする時間や通勤時間が4時間(週28時間)。これで計124時間になり、残る週44時間は自由時間です。
残念ながら、凡人は自由時間の大半を人付き合いやテレビや、ソーシャルメディアをはじめとするレジャーに費やします。しかし、自由時間に何をして過ごすかが、成功と失敗の分かれ道になることもあるのです。自由時間を楽しいことに費やすか、それとも自分の将来に投資するかは自分次第なのです。
自己啓発
自由時間の効果的な使い方
photo by WanderingtheWorld (www.ChrisFord.com) 'Letting Go', United States, New York, Montauk via photopin (license)
2018.6.8
From ブライアン・トレーシー
企業活動の副産物
メーカー、とくに製造工程で大量の原材料や天然資源を使用するメーカーでは、大量の副産物が発生します。よく工場の周辺に、廃棄処分を待つ副産物がうず高く積まれている光景を見かけますが、科学の進歩にともない、こうした副産物が新製品に生まれ変わることもあります。
かつては捨てるしかなかった副産物が有用な製品に転化した例は多く、利用できる副産物が増えれば、廃棄される副産物は減り、製造工程から生じた副産物が、本来の製品以上の利益を生むケースすらあるのです。
ドイツの製薬会社バイエル社では何十年来、化学製品の製造工程から大量のアセチルサリチル酸が発生しており、工場の外には、結晶粉末状のそれが山と積まれていました。あとで運び出して廃棄するためです。
ある日、バイエル社のある幹部社員が、オフィスの窓から外を眺めていて妙なことに気がつきます。月曜の朝に出勤してきた工員が、足を止めて結晶粉末を一握りすくいとり、飲みこんでいる光景をよく目にするのです。
どうしてそんなことをするのかと工員たちに尋ねると、この粉は働きすぎや週末の飲みすぎからくる頭痛や筋肉痛によく効くのだという答えが返ってきました。
これをきっかけに、アセチルサリチル酸の意外な効能が明らかになります。バイエル社はのちにこの成分を「アスピリン」と名づけて商標登録しました。
いまではバイエル社製のアスピリンは、汎用性の高い店頭販売の鎮痛剤として世界的に普及しています。発売以来、アスピリンは社に巨額の利益をもたらし、おそらく、副産物アスピリンを生成した本来の化学製品の利益より多いでしょう。
個人の生活の副産物
個人の自由時間も一種の副産物といえます。自由時間を無駄にしたり捨てたりしないで賢く活用することで、いまより貴重な人材になり、いまより高報酬を稼げるようになるのです。業界トップクラスの人材になることも夢ではないのです。
自由時間はまさに、多忙な生活の副産物そのものです。
普通の生活を送っている人なら一日4時間くらい、週末には16時間くらいは自由に使える時間があるはずです。
この自由時間をどう過ごすかによって自分の将来も、今後何カ月間、何年間にどのくらいの成果を上げられるかもほぼ決まってきます。
自分の生活の副産物である自由時間をたえず自分に投資すれば、つまり新たなアイデアの吸収や新たなスキルの習得にあてれば、以前からもっていた知識やスキルと新たに身につけた知識やスキルとが、本人にもうかがい知れない形で組み合わされた結果、それまでの倍もの成果を上げられるようになり、やがてはまわりの人よりはるかに高い報酬を稼ぎ出せるようになるのです。
ブライアン・トレーシー
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1944年カナダ・プリンスエドワード島出身。 |