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自己啓発

【第1回】 考え方と人生

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photo by Ryan McGuire
2018.7.4
From 高田明和

私たちは何かをするとき、自分の考え方の影響をうけます。
何をしてもよい、自分で稼いだお金はどのように使ってもよい、と思う人もいれば、宗教的な考えを持ち、神様が見ているから悪いことはできないと思う人もいます。もちろん、性格の影響も受けます。してはいけないと分かっていながら、不道徳なことをしてしまう人も多くいます。

よく「善因善果」、つまり良いことをすれば良いことが、悪いことをすれば悪いことが起こる、と言われますが、本当でしょうか? 世間を見ると、許せないような悪いことをしている人も成功しているように見えます。

ここでは正直さや誠実さが人生の成功と関係するかに焦点を絞って話したいと思っています。
しかし、同時に成功とは何かを定義しなくてはなりません。

経済的な成功が幸せを招くとは限らない、地位を上り詰めても病気で苦しみ、亡くなる方もおられます。あるいは、家族がもめて、ばらばらになるという不幸もあります。それどころか、一見仲のよく見えた夫婦に問題があり、妻が夫を(夫が妻を)殺したという事件もしばしば耳にします。

そこで、「成功」「健康で幸福な人生」と定義したらどうでしょう。
年をとってくると、健康であることは幸福だということが分かってくると思います。

その人の生き方がどう成功や幸せに関係しているのか、科学的に検証した研究は日本にはなかったと言えます。しかし、欧米では盛んに研究されています。そこで米国での研究を紹介し、この問題に取り組もうと思います。

ひとつはスタンフォード大学のルイ・ターマン博士がIQ130以上の知能をもつ優秀児の人生を追跡調査したもの、もうひとつはハーバード大学のIQの高い学生を追跡調査したもの、三つ目はグレック研究といって、ボストンにおいて、さまざまな事情で親と離れて施設に送られた少年たちの研究です。

このような研究では、たとえば30歳、55歳のときの生き方が、80歳の健康や幸福感にどのように影響を与えているかが調べられます。

ということで、次回以降、善行や徳などが人生の成功、幸せに関係することを説いた仏教の教えや歴史なども参考にしつつ、「健康で幸福」ということで定義された「成功」が、正直な生き方や考え方とどう関係するかについて話したいと思っています。

 

 

 

 

高田明和(たかだ・あきかず)

浜松医科大学名誉教授/医学博士
1935年、静岡県清水市生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。ニューヨーク州立大学大学院教授、浜松医科大学教授を経て、現在にいたる。テレビ、ラジオ、全国の講演を通じて、心と身体の健康に関する幅広い啓蒙活動を積極的に行っている。主な著書に『100歳までボケない脳に変わる! 速聴CDブック』(きこ書房)、『長生きしたけりゃ、医者の言いなりになるな』(朝日新聞出版)、『うつもボケも寄せつけない脳と心がホッとする健康学』(すばる舎)ほか多数。

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