知能指数と長寿の関係
この話を続ける上で大事なことは成功とは何かということです。たとえば長寿という観点から言うと、ハーバード大学の卒業生を継続的に調査したグラント研究の結果では、彼らは同世代のボストン市民に比べて15歳から20歳ほど長寿です。
いろいろな理由が考えられています。ひとつはこのように知性が高く、社会的地位も高い人は健康に留意し、よい医師の治療を受けることができるからという考え方。もう一つはこのような選ばれた人たちは遺伝的にもよいものをもっていて、それが長生きをもたらすという意見です。
しかし、健康な人のみが長生きとは限りません。病気をもちながら長生きという人もいます。また長寿の人が幸せとも言えないのです。
グラント研究の人たちが75歳のときの調査では、26%が健康で幸福を感じている、と答えました。17%の人は病気で不幸であり、25%が75歳までに亡くなったのです。一方、ボストンの65歳から70歳の一般男性では29%の人が健康で幸福を感じていました。23%の人が65歳までに死亡、14%の人が病気で不幸と感じていました。
この調査をまとめたベイラント教授はボストン市民のサンプルの方が10歳くらい若いと言いますが、それにしても、両者にあまり違いがないのは驚くべきことです。つまり知能指数が135くらいの選ばれた人たちと、知能指数が95くらいで、特別な教育を受けなかった人たちの健康で幸福な人の率と病気で不幸な人の率があまり違わないのです。