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心温まるサービス

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Photo by Ted's photos - Returns late Feb 2018 - Mexico - Morelia - Hotel de la Soledad - 2 of 3 via photopin (license)
2019.1.22
From マックス桐島

突然の電話

とある小さな町にロケハンに行った際、到着数日前にその町のホテルから電話がありました。

「来月当ホテルに宿泊されること、ご予約ありがとうございます! なにかご要望や事前に揃えておくものなどございますか?」

仕事やプライベートで世界中を旅した僕ですが、宿泊の前週に、こんなに心温まる“サプライズ”電話が届いたのは、前にも後にもこれが最初で最後。もう少しで、受話器を落とすところでした(汗)

サービスとは、心と心のつながり方を形で表して、お客様を“いい意味でビックリさせる”ことなのだと思い知らされた瞬間でした。

感動した僕は、電話してくれた女性に尋ねました。

「こういう前ふり電話に対して、人々はどんなリアクションをするんですか?」と。

「多くの人は、我々がExtra step(さらなる努力)を踏んでお客様のニーズに応えようとする姿勢に感謝されます。他愛のない電話が、我々の歓迎心を伝えて、お客様の心に残る経験となるからでしょう」

普通を超えた気配り

ともすればコンピュータ上のデータと化してしまう顧客に、「喜び」、「大切にされている感」、そして、「思われている感」を届けることの素晴らしさを、肌と魂で感じさせてくれた会話でした。

好奇心旺盛な僕は、さらにつっこんだ質問を浴びせました。

「失礼ですが、例えばどんなリクエストをされたことがありますか?」

「特に突飛なご要望とかはありませんが、全員が驚きます。我々がこのようなお電話を差し上げるのは、お客さまが我々のホテルで、単なるStay(ご滞在)ではなく、Experience(ご経験)を堪能していただきたいからなのです」

そうか! 旅先の経験は、到着前から始まっているのだ!

お客様に「Wow!(あっ!)」と言わせるサービスのスタートラインは、接客する人の親近感と、“普通の枠”を超えた領域から差し伸べられる心配りなのだと、僕はその女性に教えられた気がしました。

おもてなし、思いやりは、なにも日本の専売特許なのではなく、姿かたちを変えて世界中で発信されているのですね。

「電話を受けた人々は、ビックリするでしょ?」

「懐疑的にせん索する方もいますが、ほとんどのお客様は受話器を落とされますよ♪」と、茶目っ気たっぷりに彼女は笑いました。

プラスの裏切り

3写真

photo by dharder9475 Not my bed via photopin (license)

どのようにしてこんな画期的なサービスを思いついたのかが気になった僕は、その起源を尋ねました。

ある日のスタッフ会議でのブレストで、どうすれば、お客様の期待を上回る“プラスの裏切り”ができるか? という話題になったそうです。結果、ゴチャゴチャ考えているよりも、滞在予定のお客様のニーズを単刀直入に聞いてみては? という発案を全員が実行することにしました。

確かに、聞かなければわからないし、わからなければ「あっ!」と言わせることなんかできませんよね。

このエピソードで、映画の予告編を製作する会社の社長が、こんなことを言っていたのを思い出しました。 

「わが社のモットーは、予算に関わらず、すべての顧客に“Special(特別)”だと感じてもらうこと」

きっと、あの小さな町場のホテルが地道に生み出した「事前電話作戦」も、到着前のお客様の“特別な経験”の入り口という経営哲学なのだと思います。

あなた個人、あなたの家庭、あなたの部署、あなたの会社が発信するExtra Step(さらなる努力)は、どんな形で人々に「Wow!(あっ!)」を提供しているのでしょう?

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