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TODAY IS THE FIRST DAY OF THE REST OF YOUR LIFE -今日という日は残りの人生の初日-

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photo by Fede Racchi

2018.3.23
From マックス桐島

いつでも再出発できることを教えてくれた、映画プロデューサー

「仕切り直し」
「出直し」
「再出発」
「リセット」。

 けじめをつけて新スタートを切る言葉は数多くありますが、いざ自分自身の人生となると、新たな門出を躊躇してしまう人が多いのではないでしょうか。

 今までの人生で体得した様々な習癖、勝ち癖、負け癖、反応パターンや好き嫌い。その全てをリニューアルして「自分ver.2」を再構築する醍醐味は、人間にだけ与えられた天からの贈り物。それを身を持って示してくれたのは、元映画プロデューサー協会会長だったジョエル・フリーマンでした。

 80歳を超えたとは思えないバイタリティーと目の輝きを持つ老紳士との出会いは、ある映画企画を通じてのことでした。スタジオシティーの瀟洒な邸宅に招かれた僕は、品のよい調度品に囲まれたリビングルームでフリーマン夫妻とコーヒーを飲みながら懇談しました。

 20代の頃からの付き合いだというご夫婦は、ことあるごとにお互いを気遣う仕草がとても新鮮なカップル。ゴルフの腕前はシングルというジョエルはいまだにジム通いをする猛者で、テニスが趣味の奥様も年齢を感じさせない優雅な美しさを醸し出す女性。

 70年代には、黒人アクション映画の先駆けとなった『シャフト』で大ヒットを飛ばし、そのリメイクもサミュエル・ジャクソン主演で2000年に公開されました。また、80年代には、カラテアクションの大御所チャック・ノリスを発掘した『オクタゴン』をプロデュース。

 ハリウッド黄金時代の60年代から映画業界で君臨し続けたジョエルが、愛する妻のがん治療の介護をするために、人生のリセットを余儀なくされたのは二人が50代の頃だったそうです。

人生のリセット

 仕事も人生も絶好調だった時期の挫折に、当初ガックリと気落ちしていたジョエルに、毎日抗がん剤治療を続ける妻がこう言いました。

「忙し過ぎた人生をちょっと休みなさい、っていう神様のメッセージだと思いましょう」。

 そして、「今日が、新しい人生の最初の日だと思って、今までと違う生き方を楽しみましょうよ!」とジョエルの肩をポンと叩いたのです。

 それ以来、仕事量を減らして妻への献身的な介護を続けたジョエルは、数年後に病を克服した妻の言葉どおり、新たな門出に挑戦して意欲的に新企画を製作、プロデューサー協会の中心人物として活躍の場を広げたのでした。

今日からが本章

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 彼曰く、人生の仕切り直しをしたおかげで、今まで見えなかったことや妻の存在の重要さ、そして、自分にとって本当に大切なものを再認識でき、出直し前の自分とは一味違う自身になれたとのこと。80歳になっても練習場でゴルフの腕を磨き、僕たち若輩プロデューサーに臨場感豊かなアドバイスを授ける姿は、まさに「新しい門出をする人には新しい道が拓ける」という相田みつをの名言の実証だと僕は心打たれたものでした。

 今までの自分、生きざま、それに纏わる一定のパターンなどを一度全てリセットして、今日という記念すべき日を、残りの人生の初日として生き直してみてはどうでしょう?

 人生行路の素晴らしさは、今日という日が毎日訪れること、そして、仕切り直しがいつでもどこでも繰り返し可能なこと。

 習性と記憶だけで生きる人間以外の動物は、リセットするキャパがないだけに、一生同じパターンの反応と行動を繰り返します。しかし、再出発という天からのギフトを授かっている我々人間は、自分自身のバージョンアップを自発的にできる特技を持っているのだと思います。

 今までの人生は序章。今日からが本章なのです!

 

 

 

 

マックス桐島

人物紹介写真

ハリウッド映画プロデューサー
神奈川県出身。
ハリウッドで1990年以来、『Night of the Warrior (邦題「ナイト・ウォリアー」)』『Ulterior Motives (邦題「隠された動機」)』『Samurai Cowboy (邦題「ワイルド・ハート/遙かなる荒野へ」)』など13作品をプロデュース。また手掛けた作品は2001年度アカプルコ国際映画祭最優秀作品賞。2002年度ニューヨーク・インディペンデント映画ビデオ映画祭最優秀スリラー作品賞、主演男優賞などを受賞。著書に『NYビジネスマンはみんな日本人のマネをしている』(講談社プラスアルファ新書)など多数。
http://www.amazon.co.jp/-/e/B004LRJOSM

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