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率いるか従うか、さもなくば邪魔するな-LEAD, FOLLOW, OR GET THE FUCK OUT OF THE WAY-

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photo by Qsimple, Memories For The Future Photography 2014-04-21 Elfia Haarzuilen 2014, Fase 3 LARP via photopin (license)

2018.5.8
From マックス桐島

ワンマンオーナー

カリスマ的な存在としてメジャーリーグを先導した、ニューヨークヤンキースの元オーナー故ジョージ・スタインブレナー氏。80年代にNYで彼と会った時に案内されたマンハッタンのオフィスの机には、本タイトルのスローガンが刻まれたプラックが置かれていました。放送禁止語のF言葉も混じって少々過激ですが、まさに彼の生き様と経営者としての訓示そのものだったと思います。

船舶業で財をなし、70年代にヤンキースを購入してからの彼のリーダーシップは、専門知識に長けた人材で自分のチームを固め、一度こうと決めたら成功するか失敗するか白黒つけるまで邁進するというスタイル。

時には監督やスター選手と揉めてワンマン呼ばわりされたり、チーム運営に口出しして非難されたりと、とかく話題には事欠かない時代の先駆者でもありました。

彼のリーダーシップのおかげでヤンキースは常勝チームとなり、松井選手の大活躍で数度目の世界一に輝いたことは未だに鮮烈な印象です。亡くなったジョージの遺志を継いだキレ者の息子二人は、きっとヤンキースをこれからも「最も好かれるか、最も嫌われる」エリートチームとして存続させていくことでしょう。後継者の長男ハンクの机には、かのプラックが置かれているそうですし……。

役割を知る

一方、未曾有の災害に見舞われた祖国日本は、リーダーらしくないリーダーが先導し、フォロワーになりきれないフォロワーが従えきれず、結局、大勢の人が道をふさいで邪魔をしている状態にあるような気がします。リーダーを批判するだけでなく、そのリーダーが力を発揮できる磁場を形成することに協力するのもフォロワーの実力のうちであり、自分はリーダーではないが誰にも負けないフォロワーだという自負心を持つことも、極限状態の中では必要な知恵です。

映画撮影の現場でも、脚本会議でも、個人個人が自分の役割を認識して遂行するエネルギーの流れがスムースな場合は、それぞれの力が相乗効果を発揮してよりよい結果を導き出します。

反面、フォロワーであるべき人がリーダーになりたがり、リードの仕方が分からないリーダーが仕切る現場は、まるで交通渋滞のような捌きにくいエネルギーの衝突と化してしまいます。

問題が起きた時、解決方法が分からなければ、分かる人に先導をゆだねて自分は道を譲る。つまり、Get out of the wayという所作が、リードとフォローと同じくらいの重要性を持つということを、デキる人は熟知しています。

邪魔だけはしない

3写真

by Qsimple, Memories For The Future Photography 2014-04-20 Elfia Haarzuilen 2014, Mali May via photopin (license)

建設的意見や代替案を思いつかないにも関わらず、批判や非難を繰り返すのは、まさにGet in the wayという致命的な「お邪魔虫行動」なのだということを、僕はスタインブレナー氏のプラックから学びました。

懇談の途中でスタインブレナー氏の電話がなり、急用だと言うことで応答した彼の、迅速かつ揺るぎない対応にビックリした光景が、昨日のことのように脳裏に蘇ります。

「君は、今部下を率いているのか、それとも優秀な部下の後押しをしてあげているのか? まさか、どちらでもなく、行く手の邪魔をしているんじゃないだろうね?」

と言って電話を切り、僕に視線を戻した彼の右手は、机の上のプラックを指差していました。そして、微笑みながらこう続けました。

「誰もがこの簡単なルールに従えば、ほとんどの問題は解決する」

仕事、家庭、友人、隣人などすべての人間関係において、自分がリーダーとなるのか、フォロワーに徹するのかは臨機応変に対処すればいいのですが、行く手を遮る邪魔な存在だけにはならないという覚悟も、リーダーとしての才覚やフォロワーとしての技量同様に、人生の様々なシーンで役立つノウハウなのだと思います。

 

 

 

 

マックス桐島

人物紹介写真

ハリウッド映画プロデューサー
神奈川県出身。
ハリウッドで1990年以来、『Night of the Warrior (邦題「ナイト・ウォリアー」)』『Ulterior Motives (邦題「隠された動機」)』『Samurai Cowboy (邦題「ワイルド・ハート/遙かなる荒野へ」)』など13作品をプロデュース。また手掛けた作品は2001年度アカプルコ国際映画祭最優秀作品賞。2002年度ニューヨーク・インディペンデント映画ビデオ映画祭最優秀スリラー作品賞、主演男優賞などを受賞。著書に『NYビジネスマンはみんな日本人のマネをしている』(講談社プラスアルファ新書)など多数。
http://www.amazon.co.jp/-/e/B004LRJOSM

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