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憤りは百害あって一利なし -RESENTMENT HAS NO PLACE IN YOUR LIFE-

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2018.5.29
From マックス桐島

心と身体

最近、大変興味深い記事を読みました。それは、病気と心境は人間が考えている以上に密接にリンクしていて、特定の心境が特定の病気を引き起こすという内容でした。

――心に秘めた「憤り」の蓄積はやがて有がん物質を体内に誘発し、長年の「不安」は臓器の機能を弱める。そして、過剰の「競争意識」は脊髄神経を圧迫するらしい。

中でも、ストレス社会の現代、「憤り」を感じながら生きている人は少なくない。自分への憤り、他人や世の中に対する憤り、理由が明確な憤りに、説明不可能な憤り。そんな憤りが爆発して無差別殺人などの事件を引き起こす人もいれば、自分が知らない間に病に蝕まれていく人もいる。――

その記事を読んで、ワーナー・ブラザースで始めて映画をプロデュースした際に師事した著名な敏腕プロデューサーとの会話を想い出しました。

「物事がうまく運ばない時、人が思い通りに動いてくれない時、なぜか周囲に当たりたくなる時。そんな時は、Resentment(憤り)というPoison(毒)がフルパワーで稼働している瞬間だと思え」

道を探る

状況や人間関係に振り回される新米プロデューサーだった僕は、修羅場を何度も生き抜いてきた彼の目には、Resentmentの塊のように映ったことでしょう。今思うに、きっと体内では良からぬエネルギーが体と心を壊しにかかっていたのかもしれません。そんな僕に、彼は微笑みながらこう続けました。

「世の中で唯一大切なResentmentは、ResentmentそのものをResent(拒む)するResentmentだけだよ」と。

当時は、ずいぶんと哲学的なことを言う人だなぁと思ったものでしたが、歳を重ね、経験を積み、挫折をしながら冒険をこなしてきた今、彼の言葉が何十倍もの重さで心に響きます。

状況に憤慨している暇に解決法を模索し、他人への競争心や自分への不安に憤っている間に自分を磨いて自信を得る道を進む。そして、憤りが心に頭をもたげた際は、そのエネルギーに翻弄されるのではなく、「憤りは百害あって一利なし」なのだと再認識すること。彼は、きっと僕にそう伝えたかったに違いありません。

心の選択

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憤りのやっかいなところは、顔で笑っていても心の中を蝕む透明な妖怪であること。それも、長年にわたって鬱積された憤りは、文字通りResentful(憤慨してばかりいる)な人間性を形成してしまい、その心の目には、バラ色の光景さえもが灰色の景色にみえてしまうことにもなりかねません。

「不安、競争心、嫉妬、自信の無さに基づいたResentmentに色があるとしたら、多分その色はドス黒いタールの色だな」

一度の映画製作で百人以上のスタッフと一緒に仕事をするということは、様々な憤りやドラマを経験するということでもあります。その空間で長年揉まれた彼が、ふとつぶやいた一言は、今でも僕の日々の指針になっています。

聖人君子でないかぎり、日々の生活の中で憤りを感じることは誰にでもあります。ただ、その感情をどう処理するかは千差万別。病気をもたらすタール色の毒に汚染されてしまうか、それとも、それを安心、余裕、自信というバラ色のエネルギーに変化させるかは、「Resentment(憤り)をResent(拒否)する!」という心の選択にかかっているのだと思います。

 

 

 

 

マックス桐島

人物紹介写真

ハリウッド映画プロデューサー
神奈川県出身。
ハリウッドで1990年以来、『Night of the Warrior (邦題「ナイト・ウォリアー」)』『Ulterior Motives (邦題「隠された動機」)』『Samurai Cowboy (邦題「ワイルド・ハート/遙かなる荒野へ」)』など13作品をプロデュース。また手掛けた作品は2001年度アカプルコ国際映画祭最優秀作品賞。2002年度ニューヨーク・インディペンデント映画ビデオ映画祭最優秀スリラー作品賞、主演男優賞などを受賞。著書に『NYビジネスマンはみんな日本人のマネをしている』(講談社プラスアルファ新書)など多数。
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