ユーモアがあれば出世する
エグゼクティブ・リクルーターズによれば、失業者たちの10人に7人が、脳力の欠如ではなく、人間関係のトラブルで職を失っているという。ある役員に言わせれば、誰かを中間管理職以上の地位に昇格させる場合、主な判断基準は、仕事の業績ではなく、その人物に部下とのコミュニケーション力とモティベーションを与える力があるかどうかだという。
また、上司や同僚との人間関係も重要である。経営者は、自分が気に入った人を昇進させる傾向がある。職場において、特定の人物が他の人びとから嫌われる最大の理由は何だろうか? それは、その人物が物事をあまりにも深刻に考えすぎるせいである。
つまりユーモアのセンスを欠いているからである。
哲学者、エマースンは、「もしあなたが、世界を静かに治めようと思うのなら、世界を楽しませ続けなければならない」と述べている。
あなたがユーモアを示すことは、あなたは人間味があると示すようなものである。経験上わかっているように、私たちはみな人間味のある人と働きたいと考えている。ユーモアと笑い声がもたらす恩恵の大きさは、誰もが知っている。
『フロリダ・トレンド』誌の1992年3月号には、コンサルタント業者、レスリー・ギブスンの「職場におけるユーモア」と題された記事が掲載されており、次のようなデータが紹介されている。
「平均的な4歳児は1日に約400回笑っているが、大人は1日に15~16回しか笑わない」
なんともったいないことだろうか! ギブスンは次のように語っている。
「笑うことは、仕事にとっても有益である。ストレスを緩和し、あらゆる種類のプレゼンテーションを引き立て、創造性を刺激する。職場で笑ったとき、それがわずか15秒間であったとしても、人びとの脳には大量の酸素が供給され、それによって笑った人たちの思考は確実に冴える」
ただし、ギブスンは同時に、嘲笑や中傷、皮肉などを含んだジョークは「百害あって一利なし」だと警告している。誰かが突然部屋に入って来たら途中でやめなければならなくなるようなジョークは絶対にしてはならない。ギブスンはまた、職場でのユーモアの最もポジティブな効能は、「権力や自負の念を払拭し、職場内に平等意識を生む」ことだとも語っている。
ユーモアのセンスを磨くことには、数多くの利点がある。ミシガン大学の研究では、「優れたユーモアセンスの持ち主は、高い創造性、情緒の安定、現実把握力、そして大きな自信を持つ傾向にある」と結論づけている。
医学的見地から言えば、笑いはエンドルフィンの分泌を促し、人の忍耐力を高め、天然の痛み止めとしても作用する。
リーダーシップ論の権威、ジョン・マクスウェル博士は次のように語っている。
「人生や自分自身を笑い飛ばせる人は、それができない人よりも、はるかにストレスの少ない人生を歩むことができる。あなたが優れたユーモアセンスを持っているなら、ユーモアセンスを持たない人よりも出世の階段を早く上れるだけでなく、そのプロセスを楽しむこともできるだろう。
ユーモアセンスは、あなたと他者との人間関係を円滑にし、チームワークを強化し、チームの生産性向上にも貢献するので、結局はあなたの業績も上がるのである」
ユーモアは、私たちをリラックスさせ、ストレスを軽減し、健康と心の姿勢に素晴らしい影響を与えてくれる。
(出典『潜在脳力超活性化ブック』ジグ・ジグラー 著、田中孝顕 訳、きこ書房 刊)